登魂日記

登山の山紀行、おすすめの山岳本、映画などを紹介します。

2025-04-01から1ヶ月間の記事一覧

フェルメール・ブルーの八ヶ岳、赤岳の白線に導かれて

八ヶ岳の主峰・赤岳に最後に登ったのは2019年の春。平成が終わろうとしていた4月13日。新宿の最高気温は7℃。真冬が舞い戻ったような冷気が、季節の境界線を曖昧にしていた。 人生4度目の八ヶ岳。金曜の深夜0時半、埼玉の西大宮を出発する。夜明け前の5時から…

高尾山が僕をクライマーにした〜山は遠くない、平成と令和のあいだに

人生でいちばん登っている山が高尾山だ。登山を始めた2014年から2025年まで。19回。 「よく飽きないね?」と言われるが、登るたびに「また来たい」と思う。高級料亭の味ではなく、毎日でも味わいたい。そんな山。 2016年の元旦には初日の出を拝んだ。人生で…

山のあなた

栗城史多さんがよく言っていた。 「山は不思議なもので、本人が行きたくても行けないときもあるし、血のにじむような努力をしても天候次第で山頂につけないことも沢山ある。山も人と同じく『ご縁』があるかどうかだよ」 世界一の雨男だった栗城さんらしい言…

十文字峠に咲く高嶺の花〜春を背負って咲く、花の声が聞こえる峠

石楠花(シャクナゲ)は、春から初夏にかけて咲く華やかな花で、赤・ピンク・白・紫など、彩り豊かに咲き誇る。「高嶺の花」の由来にもなり、かつては人里離れた高山にしか咲かない特別な存在だった。ヒマラヤのような高山に多く見られ、日本でも深山に自生…

甲武信岳と拳の記憶〜凍れる憶い出を背負って

小説『春を背負って』の舞台に行ってみた。梅雨を迎える直前、晩春の奥秩父。 初日に目指すは甲武信岳(こぶしだけ) 19歳から28歳まで極真空手に精を出した自分にとって「拳」の呼び方と山容を持つ山は特別な存在。 新宿発の京王線の始発は5時19分。その前…