登魂日記

登山の山紀行、おすすめの山岳本、映画などを紹介します。

2025-08-01から1ヶ月間の記事一覧

狼が守る聖峰・三峰山〜ヤマトタケルと修験の道

三峰山(みつみねさん)は奥秩父を代表する埼玉の山。埼玉県民に「秩父の山といえば?」と訊けば「三峰山」を挙げる人も多い。 とはいえ、三峰山という特定の山があるわけではない。雲取山、白岩山、妙法ケ岳の3つを背景とする山域の総称。山頂は三峯神社に…

甲斐駒ヶ岳〜王様の門・黒戸尾根標高差5000mを駆け抜けた8時間

"> 「日本の十名山を選べと言われたとしても、私はこの山を落とさない」 深田久弥さんが”日本アルプスの金字塔”と称え、花崗岩の白砂に輝く名峰が甲斐駒ケ岳である。標高2967m。18座ある”駒ヶ岳”の中で堂々の最高峰。 「山の団十郎」「南アルプスの貴公子」…

奥多摩富士・本仁田山―三大急登の果てに出会う至高のブルー

"> 月の最終日が土日だとうれしくなる。山に登り、一新した自分に生まれ変わって次の月を迎えられる。晩秋と初冬に揺れる11月30日(土)。令和元年の55座目に選んだのは奥多摩にある『本仁田山(ほにたやま)』だった。 "> 標高1224m。「奥多摩富士」という…

白神岳〜ブナの楽園と海の絶景を求めて、白き神の峰を駆ける

東北の山のシンボルは、天上の湿原とブナの原生林である。 令和元年11月3日、文化の日。八甲田山に登頂した翌日、朝5時に目を覚ますと秋田の十和田は大粒の雨に降られていた。 「朝起きてから山に登るか観光か決めよう」と先輩に言われていたものの、はじめ…

東京・愛宕山〜25メートルの頂で見つけた令和の晴れ間

明治は「維新」の時代。大正は「浪漫」、昭和は「歌謡」、インターネットが普及して世界が繋がった平成は「多様」。そして令和は「否定」の時代だ。SNSは誹謗中傷、各地で大雨や地震が続き、気候も人間も、嵐が吹き荒れている。 その兆しは令和元年からあっ…

上州・榛名山〜天頂の沈黙、遠い峰の約束

5月21日は、1年間で最も特別な日だ。亡くなった登山家への想い、憶い出は書き切れない。これまで『月とクレープ。』『温泉クライマー』の2冊で少し触れてきたが、いつの日か、1冊の本にする。少しずつ、一歩一歩、近づいていきたい(今頃、火星のオリンポス…

武尊山〜踏み抜き地獄の果てに、冬の真実

"> 令和元年58座目に選んだのは、標高2158m、上州を代表する成層火山の武尊山(ほたかやま)だった。前武尊、剣ヶ峰、家ノ串、中ノ岳、沖武尊(主峰)、西武尊(剣ヶ峰山)、獅子ヶ鼻山と、7座の2000m級の峰頭を連ねる総称で、登山ルートも豊富。深田久弥さ…

高水三山:転職と縦走、背中を押したのは、奥多摩の風だった

新宿からオフィスに向かう神宮外苑のイチョウが見頃を迎えた令和元年12月13日(金)、会社を辞めた。 みんなから「おめでとう」と声をかけられる転職。‬でも、ホントは辞めたくなかった。それでも次のステージに上がるには喪失が必要だった。‬こんな自分勝手…

霧ヶ峰、失われた花の都へ、霧に咲く黄色

長野県の佐久町を抜けると、そこに新田次郎の故郷がある。 「失われた花の都」である霧ヶ峰は、この地で生まれた新田次郎を育み、深田久弥さんをはじめ多くの岳人を一夏の避暑に誘った。 ニッコウキスゲは各地で見られるメジャーな花だが、失われゆく霧ヶ峰…

不老山へ:GPSとプリンと、時間を駆けて

令和元年6月16日、雨上がる。 前夜まで降りしきった雨が、街の喧騒を一度洗い流していったかのようだった。勝利宣言だ。先週、6月9日の登山家の誕生日に行けなかった山梨の不老山にリベンジ。 永遠に年をとらず、永久に色褪せることのない想い出をくれた登山…

倉岳山と高畑山、初富士を探して、中央線を西へ

令和2年、正月3日。倉岳山を目指していた。 「すごいスピードだね。箱根のランナーみたいだ」 つづら折りの急登で年配の登山者を追い越したとき、そう声をかけられた。 箱根駅伝で躍動する青学のフレッシュグリーンの疾走感に心を動かされ、令和最初の山に倉…

新田次郎『富士山頂』〜山を描かずして山を描く、小説の頂点

著者:新田次郎 出版年:1974年7月25日 出版社:文春文庫 ページ:237ページ 新田次郎の小説『富士山頂』は、1967年に発表された作品で、実際に1957年から1958年にかけて行われた「富士山レーダー建設計画(富士山レーダー局建設)」を題材にした山岳小説。…