
2021年1月3日、本当なら1月3日の登り始めは谷川岳のはずだった。しかし、近年では珍しい大雪の予報で断念。「じゃあ、どこにしようか」と山地図や先人の文献を漁ったのが昨日の夜。
去年の宿題に山梨の本社ヶ丸(ほんじゃがまる)を残していた。山納めにするつもりだったが、年末に秋田の八幡平(はちまんたい)に誘われたので登らず終い。
昨年も1月3日は箱根駅伝の復路を見ずに中央沿線の高畑山に登っている。行動パターンが1年前となにも変わっていない。
JR笹子駅は新宿から2時間を少し超えるロング・ジャーニー。駅は標高600mの位置にあり、高尾山より1m高い。そこから本社ヶ丸の山頂までは1030mを上げるから中央沿線で屈指の急登だ。
7時15分に笹子駅を出発し、グングン車道を登っていく。登山口まで歩いて2時間かかるが、ほぼ半分のスピードで着いた。東北の雪山で鍛えた脚のおかげ。山で過ごした時間はウソをつかない。
ただし、本当にキツイのは山に入ってから。しんどいとは聞いていたが、想像以上の傾斜。急登が大好きな自分でも、脚が進まない。何という急坂。奥多摩三大急登より上かもしれない。
背中を押す誰かの言葉もない。気温は氷点下。冬の暗い枯れ木を歩いていると、ついネガティブな気分になる。おまけに足が痙攣しそうだ。言い訳をつくって逃げ出したい。苦しみを誰にも共有できない。これが単独行。
それでも、歩き続ければ必ず道は開ける。苦しいことから逃げたら山頂で待っている自分には出逢えない。
それがわかっているから、懲りずに山に向かう。登山という自由な呪いからは抜け出せない。自らを鼓舞し、本当の自分を取り戻せる。だから山と急登が大好きだ。

難関の清八(せいはち)峠を登りきったとき、朝日が迎えてくれた。ここまで登って来なければ、いつまでも暗闇を彷徨っていたところだ。
山頂までひと踏ん張り。岩場の連続がアスレチックで楽しい。そして、ヴィクトリー・ロードの先に待っていたのは、富士山の祝福。

頂上には自分しかいない。静かだ。無風という風が吹いている。新宿の喧騒で暮らすボクにとって、いちばんの贅沢は「静寂」。富士山の鼓動が聴こえてくる。
雪のファンデーションを施し、雲海に浮かぶ富士山を独占。富士山がボクを見つめている。ボクが富士山を見つめている。富士山はボクの眼の中にある。

そして山の頂上では、必ず別の山が待っている。登頂がゴールじゃない。登山には「次」がある。次の憧れに向かうためにクライマーは下山する。

丑年だから牛カルビ焼肉をした。クレイジーソルトで味付け。

中央沿線でいちばん好きな山、本社ヶ丸。
それでも「いちばん」を更新するために次の山に向かう。本社ヶ丸もきっと、いちばんを更新されたがっている。
本社ヶ丸(ほんじゃがまる)とは
本社ヶ丸(ほんじゃがまる)は、山梨県の大月市と都留市にまたがる標高1,631メートルの山である。秀麗富嶽十二景の一つに数えられ、登山者に人気のある山である。富士山や御坂山地、南アルプスなどの雄大な景観を望むことができる。
地理と特徴
本社ヶ丸は、御坂山地の一角に位置し、隣接する清八山(せいはちやま)とともに登山ルートの一部を形成する。山頂は開けており、晴れた日には富士山をはじめとする壮大な眺望が広がる。特に、朝日や夕日の時間帯は美しい景色を楽しめることから、多くの登山者が訪れる。
登山ルート
本社ヶ丸への主な登山ルートは以下の通り。
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- 笹子駅から沢沿いの登山道を進み、清八山を経由して本社ヶ丸へ向かう。
- 標高差があり、やや健脚向けのルート。
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- 北側からアプローチするルートで、比較的なだらかな道が続く。
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本社ヶ丸単独登山ルート
- 笹子トンネルの登山口から本社ヶ丸へ直接登るルートもある。
いずれのルートも変化に富んだ登山道であり、四季折々の自然を楽しめる。
雪山と温泉の本を出版しました♨️
